~試合で役立つメンタルスキル:Tought(思考)とTalk(セルフトーク)の違い
投稿:2026年2月14日試合中フルドローしている時に「クリッカーが切れないなー」とか「サイトが止まらないよー」とか思ったことはありませんか?コンパウンドでは、「リリーサーのトリガーが切れないなー」とか、「ドットが下について上がってこないなー」といった経験があるアーチャーは多いのではないでしょうか。練習だと早く射てるのに、試合だとタイムアップぎりぎりまでシューティングラインに残っていることが多い、練習ではドットが的の真ん中につくのに試合だと6時の9点に下がって上がってこない、練習ではうまく射てるのに試合になると普段の自分の射ができない、そういうアーチャーはパフォーマンス中にいろいろな思考にとらわれていると思います。では、どうすれば練習通りのフォームで、普段通りのパフォーマンスができるようになるのでしょうか。
このブログでは、競技中に頭に思い浮かぶ言葉に注目して、練習で獲得したフォームやスキルを試合で発揮するためのメンタルスキルについて解説していきます。
― Thought (思考)と Talk (発話)の違い ―
試合中に浮かんでくる受動的な言葉
- 「外したらどうしよう」
- 「今のは引き戻せばよかった」
- 「クリッカーが切れないなー」
- 「風が強いから今日は点出ないなー」
これらはすべて Thought(浮かんでしまう思考)です。一方で、
- 「押し手をしっかり残そう」
- 「力強いフォロースルーで終わろう」
- 「腹筋を伸ばさばないように弓を引き起こそう」
- 「風が強いから、ドットが風上側の赤以内に合ったら迷わず射とう」
といった、行動を伴う主体的な言葉がTalk(発話)です。

Thought(浮かんでしまう思考)とは?
不安、喜び、恐れなど結果、予測、感情に関わる言葉
- 勝手に出てくる
- 感情をともなう
- 過去や結果に引っ張られる
- コントロールしづらい
プレッシャーがかかる場面などで自然発生的に浮かんでしまうものなので、止めようがないし、それ自体は問題ではありません。試合で強い選手は、必ずしもネガティブなThought が出ない選手というわけではありません。ネガティブなThoughtが出たあとに、今やるべき作業に意識を向け、本来のパフォーマンスを引き出す術を持っている選手が試合で強い選手だと言えます。

Talk(発話)とは?
自分を行動に戻すために、意図的に使う短い言葉
- 今やるべきことに意識を向ける
- 具体的で、行動の方向性を示す
- 身体動作と直結する
- コントロール可能
考えるための言葉ではなく、「行動するための言葉」がTalk(発話)で、セルフトークというとイメージしやすいかもしれません。
競技中の対応
① Thought が浮かぶ
「外したらどうしよう」
「押手の肩が詰まる」
「クリッカーが落ちない」
⬇(無理に止めない、その言葉にとらわれて引きずらない)
② セルフトークする
自分の射のプロセスを思い出して、今やるべき作業に意識を向ける言葉を発する(セルフトークする)。問題があると認識しているフェーズよりも前の段階、特にセットアップやプレドローなど、射のルーティンの初期段階のフォームや動作の方向性、タイミングを意識する方が修正しやすいと言えます。
例)両肩を結んだラインが少し的側に開いた状態でセットする。
引き手の前腕と上腕の角度が90度より大きくならないように、弓を引き起こす。
力強いフォロースルーで終わることをイメージする…など
⬇(ポジティブなTalkで、ネガティブなThoughtを打ち消す)
③ 行動に移す
セルフトークした内容を意識しながらドローイングをスタートすることによって、練習で習得したフォーム、動作を再現することが可能になります。
良いセルフトークの条件
- ポジティブな表現
「大きく動かそう」→〇
「縮こまらないようにしよう」→✖ 「縮こまらない」と考えた時点で「縮こまった」動作をイメージしてしまいます。 - 身体の部位、方向性など具体的な表現
「引き手の肘の角度が90度より開かないように引き起こす」→〇
「ドローイング中、引き手の肘を下げないようにしよう」→✖ 高さの基準が具体的でないので、具体的な動作がイメージできないため再現性が低いと言えます。 - オノマトペの活用→動作を擬態語で表現できると再現性がより高まります。

ポイント
- Thought は自然に浮かんでしまうものなので、コントロールしようとしないこと。
- Thoughtにとらわれないで聞き流し、Talkする。
- セルフトークで、自分がやるべき作業に意識を向ける。
最重要ポイント
- 普段の練習で自分のフォーム・射のルーティンを理解していないと、いくらセルフトークしようとしても、意識を向けるべき作業が思い浮かんできません。
- 射のルーティンをいくつかのステップに分解して、各ステップのフォームや身体の動きを言語化する作業を普段の練習に取り入れましょう。
メンタルスキルは、あくまで練習で身に着けた技術・フォームを引き出すための心理面のテクニックです。持っていない技術を引き出すことはできません!また、メンタルトレーニングは筋トレと一緒で、やればやるほど効果が期待できます。普段の練習でメンタルスキルを鍛えることが、試合で良いパフォーマンスを発揮する鍵です。
渋谷アーチェリー世田谷店では、弓具のチューニングや射型指導だけでなく、試合への準備の仕方などメンタル面のスキルについてもサポートいたします。ワンポイントレッスン、学校・クラブ・協会単位での講習会のご要望にもお応えしますので、世田谷店までお問い合わせください。
参考資料:「SHOT IQ」 https://go.shotiq.com/
「誰でもできる最新スポーツメンタルトレーニング 」(GAKKEN SPORTS BOOKS)笠原彰(著)
「With Winning in Mind」 Lanny R. Bassham(著)
