~マシアス・フラートン選手コンパウンドランキングNo.1に!

投稿:2025年10月2日

 先月末に発表されたWAのランキングでデンマークのマシアス・フラートン選手が、WAのコンパウンド男子のNo.1にランクされ、4年間に及んだマイク・シュルッサー選手のトップの座に終止符を打ちました。以下はWAのフラートン選手のランキングNo.1を伝える記事の要約です。

 「まだ実感がわかないけど、なんというかグッとくるものはある。なんと言っても、小さな子供の時からずっと取り組んできた目標だからね」
 「ユースのナショナルチームのメンバーになりたがっていた時、みんなは僕にはまだ早いんじゃないかと思っていた。でも、最初のミーティングで、目標は何かと聞かれた時に、当時まだ若かったけど、(世界ランク)ナンバーワンになりたいと言ったことをはっきりと覚えている。それ以来、ずっと目標にしてきたんだ。」
 「22歳で目標の(世界ランキング ナンバーワン)を達成してしまったことは、なんか非現実的ですらある気がする。まだ、本当に怒ったことという実感がわかないけど、ランキングをなども見なおしていると…やった(達成したんだ)って思うんだ。」

 フラートン選手は9月末にポーランドのクションシュで行われた【ヨーロッパ フィールドアーチェリー選手権】での優勝とその前の週の世界選手権光州大会の準優勝の成績により、ワールドランキングのトップに立ちました。
 「ヨーロッパフィールド選手権のファイナルは(世界選手権のファイナルよりも)もっと緊張しました。フィールド競技の大きな大会に出たのは初めてだったし、その試合はワールドランキングのポイントを獲るためだけに参加したようなものだったので。」
 「決勝で買った直後は、もしかしたらと思ってはいた。ナショナルチームのコーチや他の知り合いから、『ついにやったね』というようなメールが届いたんだけど、まさかって感じで返してた。期待しすぎてがっかりしたくないから、初めのうちは本気にしなかったんだ。」

Mikey

 シュルッサー選手は2021年の5月末から、一度もNo.1 の座を譲ることなく、1582日間トップに立ち続けていました。コンパウンドアーチャーとしてはもちろん、全てのアーチャーの中で最長記録です。多くの人がシュルッサー選手は史上最も偉大なコンパウンドアーチャーだと認めているところですが、今年ワールドゲームズのタイトルを獲ったことで、全てのメジャーなターゲット競技大会での優勝を成し遂げています。そして5月には一児の父となっています。シュルッサー選手はフラートン選手についてこうコメントしています。
 「マシアスは私と似ていると思います。彼は本当にアーチェリーが好きです。私も彼の年ぐらいのときにはそうでしたが、これは(トップを目指すために)必要なものだと思います。何時間もかけて練習したりチューニングしたりすることに取り組む情熱は欠かせません。(マシアスとは)そういうことについて何時間も話すこともあります。そういうアーチェリーに対する情熱を持ち続けているからこそ、今彼がランキングのトップに立ているというわけです。マシアスがトップに立ったのは当然のことだと思います。」 
 「もちろん、ナンバーワンの座を取り返しに行きますよ。ナンバーワンの座に君臨する日数をもっと増やしたいので、そのためにがんばりますよ。」

フラートン選手は2022年の7月以来ワールドランキングのトップ10をキープし続けており、2024年にベガスシュート優勝という快挙を成し遂げてからは、ランキングのトップを狙っていることを公言してきました。その目標を達成した今、フラートン選手が次に目指すものはなんですか?という問いに対してこう答えています。

 「このところ(次に何を目指すべきか)繰り返し自分自信に問いかけ続けているんだけど、まだよくわからないんだ。」
 「一つ言えるのは、自分の意志と身体、弓や弓具など全ての限界に挑戦し続けるということ。」
 「目標はいつくかあって、世界選手権で優勝したいとか、予選ラウンドの世界記録を破りたいとか思っています。そしてマイク(シュルッサー選手)のナンバーワン記録を抜くことができたらすごいと思う。まぁ、それが実現するのは僕が26か27歳になった時のことだろうけど。それはその時になってみないとわからないので、できる限り長くナンバーワンの座をキープしたいね。」
 「目的地がどこかじゃなくて、その過程をどう辿るかが全てだと思う。上手く行くこともあれば、上手く行かないこともあるけど、僕はここにたどり着くまでの一つ一つの全ての瞬間を楽しんできたと言える。正直なところ、ナンバーワンの座を手にするまでにもう少し長く戦い続けたかったとさえ思う。でも、ナンバーワンになった今、最高の気分だ。」


 

 マシアス・フラートン選手は20歳で世界最大級のアーチェリーイベント【ベガスシュート】のシュートオフを制し5万ドルの優勝賞金を獲得しましたが、大会後帰国した際に空港に出迎えに来た父親から「どこか行きたいところあるか?」と聞かれ、練習したいと言って射場に行って練習したというくらいのアーチェリー好き。デンマークの人口は600万人に満たないですが、マーティン・ダムズボー選手、ステファン・ハンセン選手、ターニャ・ギャレンティン選手などコンパウンドのトップアーチャーを何人も排出しています。まだ10代のころのステファン・ハンセン選手に、デンマークではどういう育成システムがあるのか尋ねたことがあるのですが、特に育成システムはなく、コーチもいないという答えが返ってきました。当時既にトップ選手だったマーティン・ダムズボー選手の影響は大きかったようです。
 デンマークはコンパウンドは協会からの資金援助はなく、全部自費で遠征しているとのことで、ターニャ・ギャレンティン選手も弓具や遠征にかかる費用のためにアルバイトを二つ掛け持ちしていたこともあるそうです。