~イーストンのカーボンアローが優れているのは、ダブルテーパーデザインだから!

投稿:2025年8月9日

 イーストンのA/C/Eと言えば、1987年に発売されて以来ベストセラーを続けるリカーブの競技用アローシャフトの定番モデルです。そして1996年にデビューして以来、オリンピックのゴールドメダルを独占し続けているX10は70m競技で最も成功を収めているアローシャフトと言えます。この二つのモデルの共通点は、「ダブルテーパーデザイン」という点にあります。普通のアローシャフトは、ポイント側からノック側までまっすぐな形状の「パラレルデザイン」で、イーストン独自のダブルテーパーデザインを採用しているA/C/EX10はシャフトの両端が細く中心部分の方が太くなっている、つまりシャフトの両端に向かってテーパー形状になっているのです。

ダブルテーパーザインとは?
 A/C/Eはアローシャフトの中心付近が両端に比べて太くなっていて、端に向かって細くなっている「ダブルテーパーデザイン」で作られた初の競技用カーボンアローです。X10A/C/Eもポイント側よりもノック側の方が細く軽くなっているためシャフトの質量がポイント側に寄ることで、ノック側の部分がリリース時に適度に「しなり」やすくなっており、リカーブのフィンガーリリースで射った時のクリアランスが向上ししました。

 実はカーボン製のアローシャフトは、アルミニウムに比べて振動の周波数が高いカーボンという素材の特性のため、リリースした時にアルミニウムシャフトのように大きく緩やかに「しなり」にくいのです。このため1980年代に流行りはじめたパラレルデザインのオールカーボン製アローシャフトでは、極端に重いポイントを使用してリリース時にシャフトが大きくたわみやすくして、プランジャーやレストを通過する際のクリアランスを得るための工夫をしていました。ハイスピード動画で見るとレストやプランジャーをクリアするために、適度な「しなり」が大切であることがわかりますね。

バイターのハイスピードビデオ

 


ダブルテーパーデザインのアドバンテージ
 重心がポイント側に寄っていることにより、長距離での安定性や風の中でのパフォーマンスも優れているのです。ダブルテーパーデザインにすることでコストが高くなるため、A/C/EのEはExpensive(高価な)の「E」などと言う人もいますが、それなりの理由があるのですね。X10は70mでのパフォーマンスを最大限に高めるため、A/C/Eのダブルテーパーデザインをベースにさらに改良を加えた究極のリカーブ用カーボンアローです。ダウンレンジ(矢が的前まで飛んで行った時に描く放物線の、矢が的に向かって下降していく段階)での矢のエネルギーの残存性を高めるため、断面密度が従来のカーボンアローよりも大きくなっています。この特性のおかげで、風などの外的要因の影響を置けにくく、失速しにくいシャフトとなっています。
 またダブルテーパーデザインのアドバンテージとして、ポイント側とノックエンド側の内径が、スパインが異なるモデルでも同じであるという点も付け加えておきます。パラレル形状のカーボンアローはスパインによって内径/外径が異なるため、ポイントやピンインサートのバリエーションが多くてわかりにくい場合があります。スパインを変えた時に、それまで使用していたポイントやピンインサートも全部買いなおさなければならないということもあるかもしれません。その点X10A/C/Eのようなダブルテーパーデザインのアルミニウム/カーボンアローでは、ポイントやピンインサートは全スパイン共通のものが使えます。

アルミニウムカーボンのアドバンテージ
 X10A/C/Eはアルミニウムのコアにカーボンを巻き付けた構造になっています。アルミニウムコアを採用することで、オールカーボンに比べてリリース時に適度にしなりやすくなっていることに加えて、ポイントやノックピンの接着精度が高く、耐久性にも優れています。アルミニウムは加工が容易な材料なので、重さや体積の面で高精度で均一な加工が可能なのです。
 一方でカーボンは素材の特性から高精度の加工が難しいため、オールカーボンのアローシャフトの内径の加工精度はアルミニウムシャフトに比べると低く、またカーボンは熱に弱いため融点が低いホットメルトを使用しなければならないという点で、パーツの接着の精度が問題になることがあります。より確実な接着のため、エポキシ接着剤などの強力な接着剤の使用を推奨するメーカーが多いのはそのためです。

高い均一性を保つ品質管理
 イーストンではA/C/EX10のようなハイエンドの競技用カーボンアローシャフトの場合、シャフトの全長方向の五か所でまっすぐさをチェックしています。スパインについてもシャフトの全長方向だけでなく、全周方向のスパインも高い均一性を誇っています。1ダースのセットの中で1本1本のスパインの均一性を保つことを重視しており、カーボンという素材の特性で生じる重量の誤差をウエイトコード(C1、C2などのアルファベットと数字で表されるためCコードとも呼ばれます)というもので管理しており、12本のパッケージ内のシャフトの重量誤差は、±0.5グレイン(0.5グレイン=0.032グラム)以内に抑えられています。

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