~アウトドアターゲット用カーボンアローの選び方

投稿:2026年9月6日

― 自分に合った「正しい矢」を選ぼう ―

アウトドアシーズン真っ只中ですが、高校・大学のアーチェリー部で競技を始めた方の中には、これから

「自分のアウトドア用の矢を作りたい」
「今使っている矢からステップアップしたい」
「X10やA/C/Eって、普通のカーボン矢と何が違うの?」

と考えている方も多いのではないでしょうか。

また、地域のクラブやアーチェリー協会でアーチェリーを楽しんでいる方でも、距離が30m、50m、70mと伸びていくにつれて、矢の性能が気になってくることがあります。

アウトドアターゲットアーチェリーでは、矢は単に「弓から飛んでいくもの」ではありません。

スパイン、重量、シャフト径、長さ、ポイント重量、そしてシャフトそのもののデザイン。

これらの違いが、長距離でのグルーピングや風の中での安定性にも影響します。

今回はイーストン社の代表的なカーボンアローを例に、アウトドア用の矢を選ぶときに知っておきたいポイントをご紹介します。


大切なのは「自分の弓に合ったスパイン」

矢選びで最初に確認したいのが「スパイン」です。

スパインとは、簡単に言えばシャフトの「硬さ」を表す数値。スタティックスパイン(静的スパイン)と呼ばれます。

イーストン社では、28インチ間隔でシャフトを支え、その中央に880gの荷重をかけた際のたわみ量(スパインバリュー)を基準としてスパインを表示しています。

たとえば、スパインが

  • 380 →.380インチ(9.6ミリ)たわむ
  • 600  →.600インチ(15.4ミリ)たわむ
  • 1000  →1.00インチたわむ

であれば、数字が小さいほど硬く、数字が大きいほど軟らかいシャフトということです。

適正スパインは、単純に40ポンドだから何番

というように、弓のポンドだけで決められるものではありません。

実際には、弓から射ち出されるシャフトには下の図のように、ノック側から負荷がかかります。シャフトのスパインを選択する際には、

実質ポンド(実際に引いている強さ)の他に
+ 矢の長さ
+ ポイント重量
+ 使用する弓のパフォーマンス
(リム、ストリングなど)
アーチャーのフォームの特性(取りかけ・フェイスコンタクトなど)

などを考慮する必要があります。

適正スパインは正確に測定したボウウェイトやドローレングスなどをもとに、上記の要素を考慮しながら、
イーストン社のシャフト選択チャートで確認します。上の図でいうとPとFの要素が変わると、シャフトのたわみ方(D)が変わります。


アウトドアでは「細さ」が大きな武器になる

アウトドア競技ならではの大きな要素が、風です。

18mのインドアと違い、50mや70mでは矢が空中を飛んでいる時間が長くなります。

そのため横風を受ければ、矢は少なからず影響を受けます。

ここで重要になってくるのがシャフトの外径です。

一般的に、外形が細いシャフトは横風にさらされる面積を小さくできるため、アウトドア競技に適しています。

イーストン社も長距離・風のある環境での性能を考え、A/C/Eをはじめとする小口径シャフトを長年開発してきました。

特に最新のパラレル形状シャフトX10 3.2MM パラレルプロでは、3.2mmのマイクロダイアメーターを採用。これによって風によるドリフトを抑えながら、ダウンレンジでのエネルギーとモメンタムを維持される設計になっています。

70mを射つリカーブはもちろん、50mを射つコンパウンドでも、

「風の影響をできるだけ小さくする」

ことは、アウトドア用アローを考えるうえで重要なポイントです。


「軽い矢=風に強い」ではありません

ここは矢選びで誤解されやすいポイントです。

軽い矢には、

初速を出しやすく、長距離のサイトを取りやすい

というメリットがあります。

特にポンドの低いアーチャーにとっては非常に重要です。

しかし、アウトドアでは単純に軽ければ軽いほど良いわけではありません。

たとえばX10は、単に軽量化するのではなく、長距離での空力性能やダウンレンジでのモメンタムを考慮した断面密度まで考えて設計されています。

つまりアウトドアでは、

「速さ」だけではなく、シャフト径・断面密度・空力特性などを総合的に考えること

が大切なのです。

特に70mでは、

  • 「サイトが取れるだけのスピード」
  • 「風の中でも安定して飛んでいく性能」

のバランスを考える必要があります。


パラレルとダブルテーパー ― シャフト形状にも違いがある

ターゲットアローを比較するとき、ぜひ知っておいてほしいのがシャフトの**プロファイル(形状)**です。

大きく分けると、

パラレル(ストレート)
シャフトがノック側からポイント側まで同じ外形

ダブルテーパー(樽型
中央付近が太く、 両端(ノック側とポイント側)に向かって前後に向かって細くなる。

という違いがあります。

ダブルテーパーデザインの競技用カーボンシャフトといえば、A/C/EX10です。

世界初のダブルテーパーデザインの競技用カーボンシャフトA/C/Eは、1992年にリリースされて以来、数々の世界記録更新やゴールドメダル獲得に貢献してきました。

1978年にイーストン社のアルミニウムアローによって樹立された1440ラウンド(当時は「シングルラウンド」と呼ばれていました)の世界記録1342点は、10年以上たってA/C/Eが登場するまで破られることはありませんでした。

X10では、ダブルテーパーシャフト後部の重量と剛性なども考慮した設計によって、リカーブでのクリアランスやフィンガーリリースに対する許容性、長距離での空力性能などを追求しています。

一方、現在では高精度なパラレルシャフトも登場しています。

その代表が、X10 パラレルプロ シリーズです。

パラレル構造はセッティングや矢尺変更を比較的理解しやすく、X10クラスの高精度な製造技術と組み合わせることで、新しい選択肢になっています。

「ダブルテーパーだから上、パラレルだから下」という話ではありません。

自分の競技スタイルやセッティングに対して、どちらが使いやすいか

という視点で選びましょう。


アウトドアターゲット用カーボンアローを比較

ここからは、世田谷店でも矢選びの候補になりやすいイーストン社の代表的なモデルを見ていきましょう。

アバンセ/アバンセスポーツ

初めてのアウトドア用カーボンアローに

アバンセ/アバンセスポーツは、コストパフォーマンスの良いオールカーボンのパラレルシャフトです。

ポイント重量やノックの形状、カラーの選択肢が広いのがうれしい、イーストンの4MMパーツを使用できるので、

「まずは自分の矢を揃えたい」

という高校・大学の新入部員や、クラブで本格的にアーチェリーを始める方にも選びやすいモデルです。

特に成長途中のアーチャーは、フォームの変化やポンドアップによって適正スパインが変わることがあります。

最初から最高級シャフトを選ぶのではなく、

現在の技術・ポンド・予算に合った矢からスタートする

というのも立派な矢選びです。

70m公式の試合に参加するようになったけど、まだ自分のフォームが定まったわけではないステップアップ中のアーチャーの競技用アローとして最適です。

アバンセ/アバンセスポーツを使って自分のフォームの傾向を知ることで、A/C/EやX10のようなダブルテーパーデザインのハイエンドモデルを選ぶ際の参考になります。

アバンセアバンセスポーツの違いは、シャフトのまっすぐさのレベルです。

アバンセは±.0025インチ
アバンセスポーツは±.005インチ

この差をどう考えるかですが、

70mの公認試合にどんどんチャレンジして、スコアアップを目指すなら、少しでも均一性が高いシャフトを選ぶと良いと思います。

試合にチャレンジするのはまだ先、というアーチャーはコスト重視でアバンセスポーツという選択肢もあります。

フィンガーリリースするリカーブでの使用を考えると、実はまっすぐさよりも「スパインの均一性」が重要です。

スパインの均一性というのは、1本、1本のシャフトのスパインバリューが均一であることとともに、1本のシャフトについて考えたときに360°全周方向でスパインが均一であることが、非常に重要なのです。

360°均一でない場合、弓につがえる向きによってスパインが変わるということです。通常のオールカーボンシャフトは、金型にカーボンシートを手巻きして作製されますが、この製法では巻き始めと巻き終わりの部分でカーボン層の重なり方がほかの部分と異なる継ぎ目ができてしまい、スパインが硬くなることがあります。

アバンセ/アバンセ―スポーツは、イーストン社独自の全自動の機械でカーボン繊維を編み込んでパイプの形状を構成していくACU-CARBON TECHNOLOGYによって作製されているため、シームレスで均一なシャフトになっています。


A/C/E

軽量なA/Cシャフトという選択肢

ACEは、アルミニウムコアにカーボンを組み合わせたハイブリッド構造の競技用シャフトで、世界で初めてダブルテーパー形状を採用した競技用カーボンアローです。

ACEの大きなアドバンテージのひとつが、その軽さ。

たとえば現行スペックでは520番が6.7 GPI、670番が5.9 GPIとなっており、軽量な競技用A/Cシャフトとして現在でも特徴的な存在です。

さらにA/C/Eはダブルテーパーデザインを採用しています。このデザイン特性により、同じ重さのパラレルデザインのシャフトよりも空力特性に優れ、長距離でアドバンテージとなるハイスピードを実現しています。

そのため、

「70mまでサイトを確保したい」
「高性能なA/Cシャフトを使いたいが、重量は抑えたい」

といったアーチャーにとって候補になります。

特に比較的ポンドが低いリカーブアーチャーの場合、“軽量であること”そのものが実戦上のメリットになるケースがあります。


X10

70mリカーブの世界基準

アウトドアターゲットアローを語るうえで外せないのがX10です。

X10は内径3.2MMの極小口径A/Cシャフトで、中央が太く両端に向かって細くなるダブルテーパー形状を採用。

単純な細さだけでなく、

空力性能
重量配分
スパイン設計
リカーブでのクリアランス

まで考えて設計された競技用シャフトです。

特に70mのリカーブ競技では、風の中でいかにグルーピングを維持するかが非常に重要になります。

「試合でさらに上を目指したい」
「70mでの風対策を重視したい」
「矢にも最高レベルの性能を求めたい」

という競技志向のアーチャーにとって、今なお代表的な選択肢です。


X10 4MM パラレルプロ

X10クオリティをパラレルシャフトで

X10 4MMパラレルプロは、X10シリーズの精度とA/C構造を、扱いやすいパラレル設計に組み合わせたモデルです。

真直度:±.001インチ
重量公差:1ダースのパッケージ内で±0.5
グレイン

という高い精度で製造されています。

内径4MMで、リカーブ、コンパウンド、ベアボウなど幅広い競技に対応。

「高精度なA/Cシャフトを使いたい」
「パラレルシャフトの扱いやすさも欲しい」

という競技者に注目してほしいモデルです。


X10 3.2MM パラレルプロ

50m・70mのアウトドア競技を追求した最新モデル

オリジナルのX10は、70mラウンドでゴールドメダルを取るために開発されたシャフトですが、X10 3.2MMパラレルプロは、50mラウンドでゴールドメダルを取るために開発されたモデルです。

X10と同じ3.2MMクラスの極小口径設計で、パラレル構造を採用。

真直度は±.001インチ、重量公差は1ダースのパッケージ内で±0.5 グレインとなっています。

また340から1000まで13種類のスパインが用意されており、高ポンドのコンパウンドボウから、低ポンドのリカーブまで幅広く対応しているラインナップです。

特にコンパウンドの50mラウンド競技での使用を強く意識したモデルですが、同じく50mラウンドを射つベアボウアーチャーにも注目されています。

パラレルデザインは、シャフトをカットした際のスパインの変化が一定です。クリッカーを使用しないためシャフトの長さの自由度が高いコンパウンドとベアボウでは、パラレルシャフトならシャフトの長さでスパインを細かく合わせていくファインチューニングが容易なのです。

リカーブアーチャーにとっても、新しい選択肢と言えるでしょう。


では、自分にはどの矢が合う?

大まかな目安として考えるなら、次のように整理できます。

モデルおすすめレベル特徴こんな人に
アバンセ/アバンセスポーツ初級~中級4MMオールカーボン初めて自分の競技用矢を作る
AVANCE初~中級高精度4mmカーボン
A/C/E中~上級軽量A/C・ダブルテーパー軽さと競技性能を両立したい
X10上級・競技志向極小口径A/C・ダブルテーパー70m、特にリカーブで最高性能を求める
X10 4MM パラレルプロ上級・競技志向高精度A/C・パラレル高性能と扱いやすさを両立したい
X10 3.2MM パラレルプロ上級・競技志向極小口径A/C・パラレルチューニングしやすさ、
50mラウンド、風への強さを重視

ただし、これはあくまでモデル選びの目安です。

「上級者だからX10」
「初心者だからアバンセ」

と機械的に決まるわけではありません。


ステップアップ中のアーチャーには、「将来のポンド」も重要

特に高校生・大学生の矢選びで注意したいポイントです。

アーチェリーを始めたばかりの時期は、

30ポンド → 34ポンド → 38ポンド……

というように、練習とともに使用ポンドが変化することがあります。

そのため、競技用のマイリムを購入して、何ポンドで試合に出るかがある程度決まってから、競技用カーボンアローを選らぶことをお勧めします。

逆に、

「そのうちポンドアップするから」

という理由だけで、現在の弓に対して極端に硬い矢を選ぶのもおすすめできません。

大切なのは、

現在の実質ポンド
現在の矢尺
フォームの完成度
今後のポンドアップ予定
予算
大会で使用する距離

をまとめて考えることです。

学生アーチャーの矢選びでは、「今」と「半年後」の両方を見ることがポイントです。


「一番高い矢」ではなく「一番合っている矢」を

X10のようなトップモデルには、もちろん高い性能があります。

しかし、矢そのものの性能が高くても、スパインが合っていなかったり、チューニングができていなかったりすれば、その性能を十分に発揮することはできません。

反対に、アバンセなどのシャフトでも、

適切なスパイン
適切な矢尺
適切なポイント重量
適切なチューニング

ができていれば、十分に高い競技性能を発揮できます。

矢選びで大切なのは、

「どれが一番高性能ですか?」

だけではなく、

「今の自分にとって、どれが一番合っていますか?」

と考えることです。


迷ったら、ぜひ世田谷店へご相談ください

矢選びは、カタログだけを見て決めるのが意外と難しいものです。

特に、

「自分の実質ポンドが分からない」
「矢尺を何インチにすればいいか分からない」
「スパイン表を見ても判断できない」
「ACEとアバンセ、どちらにすればいい?」
「今後ポンドアップする予定がある」

という方は、ぜひスタッフまでご相談ください。

渋谷アーチェリー世田谷店では、現在の弓のセッティングや実質ポンド、矢尺、競技レベル、使用距離、今後のステップアップなどを確認しながら、アロー選びをお手伝いします。

特に高校・大学のアーチェリー部員の皆さんは、カタログデータや

「先輩がこのスパインを使っているから」

だけで選ばないことも大切です。

同じ弓、同じ表示ポンドでも、ドローレングスや実質ポンド、矢尺が違えば、適正なスパインが変わることがあります。


そして重要なのが、矢を選ぶことは「スタート地点」だということ。

最終的には実射しながら、

  • ベアシャフトチューニング
  • プランジャーによるファインチューニング
  • ノッキングハイト

なども含めて、自分の射ち方と弓に合わせていきます。

世田谷店では、カーボン矢に合わせてアローレストやプランジャーの初期設定などのサービスに加えて、

実際にベアシャフトチューニングする際の注意点や、正しいチューニング方法のアドバイスも行っています。

自分に合った矢は、アウトドアをもっと楽しくする。

30mから50mへ。

50mから70mへ。

そして、練習から試合へ。

距離が伸び、レベルが上がるほど、矢選びの重要性も少しずつ大きくなっていきます。

でも、最初から難しく考える必要はありません。

まずは、

① 使用する距離
競技会への参加頻度
③ 予算

この3つから考えてみましょう。

そして最後は、実際に弓と矢を合わせてチューニングすること。

「一番高い矢」ではなく、「自分に一番合った矢」。

それが、アウトドアターゲットアロー選びの第一歩です。

矢選びで迷ったら、ぜひ渋谷アーチェリー世田谷店スタッフまでお気軽にご相談ください。

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